おこせばいいってもんじゃない?

先日の野田古武術研究会。
前後にラーメンと珈琲の話があるのだが、まずは稽古の話。


半身動作研究会の稽古の中で、『骨盤おこし』は必須科目のような位置づけになっている。
中島先生曰く「今までがやらな過ぎ。」だそうだ。
つまりは技に入る前の『姿勢』であり『構え』だという事。


しかし、稽古ではあえて逆行したい。
確かに『骨盤おこし』は技の効きを上げる。
さらに技を受ける際にも姿勢が丈夫になる分、崩れにくくもなる。
良いことしかないように思えるのだけれど、どうもここに稽古の上では落とし穴があるように思える。

骨盤をおこすと、今までよりも格段に技が通るようになるのだ。
「これで良し」としてしまわないだろうか?!
骨盤をおこして果たしてそれが『技』だろうか?!(こんなこと誰も言っていませんが。)


以前の中島先生の『柾目返し』を骨盤おこし版と骨盤おこさない版で受け比べたとき、
後者を『技っぽい』と感じた。

この感触がどうも引っかかっていて、この日の稽古で中島先生に再びリクエスト。

片手持たせからの変形バージョン『柾目返し』で、3パターンをリクエスト。
①.骨盤を後傾させて技をかけてもらう。
②.骨盤をおこして技をかけてもらう。
③.まず骨盤を後傾させて技をかけ、途中で骨盤おこしに切り替える技をかけてもらう。


受けた感じは、それぞれ以下の通り。

何だかわからないけど、”抵抗する気がおきなくて”崩される感じ。やはり技っぽい。


何だかわからないのは同じ、”抵抗する気はあるが”崩される感じ。速度感が増す。

これは面白い!!今まで受けてきた中島先生の技は、1の特色が強くてそのあたりが甲野先生と違って、
中島先生っぽかったのだけれど、今回受けたこれはかなり甲野先生っぽい感じ。

骨盤おこしを続けてきて、最近甲野先生の技は②に近い部分が多いのかなと思い始めていたが、
③のほうが近い気がしてきた。
となると稽古の方向は③を目指して、①と②を”それぞれ”やるという事だ。
”同時に”やると、上で書いたような心配が発生する。
例えば、今まで散々出来なくて、重要稽古テーマまで格上げされた『柾目返し』が、
骨盤をおこして通ったからって、「良かった、出来ました。」としていいわけがない。


というわけで、そのうちまた気が変わるかも知れませんが、
『柾目返し』は骨盤後傾でもやるようにしたいなぁと思います。

こんな話を中島先生にしたら『たいさんは、変わっていますね。』と言われた。
そう言えばちょっと前にS水さんが、『技の前にポジションという感覚になった』というような事を言っていたし、
わざわざ骨盤後傾で稽古しようとするのは、ちょっと変なのか?!

こんな風に思うのは、今の私にとって『骨盤おこし』が、技に入る前の準備にしては『色々やり過ぎ』で『時間かかり過ぎ』だからかもしれない。

普通の状態が骨盤後傾じゃなくなればあまり気にしなくても良いかな。


・骨盤おこし
この日はセミナー参加者ばかりだったので話がけっこう進んだ。
仰向けに寝た状態で、胸骨に拳を当ててもらい胸で拳を押し返す。
胸を前に出す時は、背骨を立てたまま前に平行移動する感じと、胸椎を反らして胸骨を押し出す感じの2つの感覚が使える。
ここで使いたいのは前者で、後者は胸に傾斜が出来るので拳を斜めに押し返す事になる。私には関係ないがバストトップをあげるのはきっと後者だ。

・腕を使う
力こぶを、身体の正面に向ける。ここから始めると『動きの結果として、』背中を動員する事が出来る。
腕立て伏せ。背中を動員できると感触が違う。


・古武術介護の『添え立ち』ならぬ、骨盤おこしの『抱き上げる』。
中島先生とちょっとだけ検証。
やはりお互いの骨盤はおきていたほうがよさそうだ。
中村先生との違いはおそらく腕から感じる『ギュッと感』だが、
これは抱き上げ前の準備で腹圧が充分でなく、密着出来ていない為だと考えられる。
しかしこの段階でも抱き上げる側の負担は十分軽減されている。
この段階の『抱き上げる』に技を加えて『添え立ち』にするとしたら、
動き始めに腕を含めた接触面全体を『ギュッと』ではなく『キュッと』させ、
その接触面の圧が変わらないように立ち上がるというのを試してみたい。

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