超強力”肌の稽古”山口先生の事前講習会

まだ名古屋の話。 

時間の都合で昼過ぎから始まる甲野先生の講習会には参加できなかったが、午前中から山口先生の事前稽古会があるということでお邪魔させていただいた。 
山口先生は甲野先生が「あの人もちょっと普通じゃありませんから。」と言われる程の動きをされる方。昨年初めてお会いした。 
私にとって衝撃の「正座から立つ」を見せていただいた先生である。 

っとここでもその山口先生から「東京の甲野先生のお弟子さんです。色々教えてもらって下さい。」という過分な紹介を受ける。 
さすがに「いえいえ、東京で稽古しているものです。」と言い直したが、どちらにしてもせっかく来たので楽しんで帰りたいし、私と稽古した方には楽しんでいただきたい。 

まずは山口先生にご挨拶。 私が手裏剣に嵌っていることをご存じでした(笑)
最新の気づきについて伺った。 
最近のツイートによると”肌”と”視線”がテーマになっているとのこと。 
”肌”と聞くと半身動作研究会の「皮膚の稽古」が思い浮かぶが、山口先生が独自に気づいたそれはやはり異なるものだった。 
「お願いします。」 
と腕を抑える。とにかく腕を抑えにかかる。 
前回もそうだったが、山口先生との稽古の特徴の1つは、やりながら感じるという事。 
こう書くと韓氏意拳の稽古に通じるように聞こえるかもしれないがそれとも違う。 
どうやっても動けそうもないときにどうするか?自分はどう動きたいのか?相手はどうなっているのか。このような事を厳しい受けの条件で探るのだ。 
久しぶりに受けた山口先生の動きは一言で言えば『超強力』。 
油断していたわけではないが、正面の斬りの形であそこまで激しくぶっ飛ばされるとは!ここ最近では記憶にない。 
座りの技で転がったのに背負い投げをくらったような衝撃を受けた。 
”肌”とは動きの方向性の事。ますます中島先生の説明に近くなってくるが、技は異なるもの。 

もう1つは”視線”これは早さの事であった。見たときには動いているという感じ。あるいは、見ているが視線を送った時には動いているという感じ。 
これもわかりやすく言えば気配が消えるので、こちらが間に合わない。 

私も半身動作研究会の稽古メニューを紹介した。 
もちろん『皮膚の稽古』だ。 
説明は過去にも書いたようなきがするので省略するが、山口先生の動きとは似ても似つかぬこの大人しい稽古が、感覚的には皮膚の繊細な部分を取り出したものに思われた。 
一緒かどうかはわからないが、受けたみなさんは楽しんでくれたようだ。 
特に初参加だという、柔道整復師と柔道の親子が熱心に話を聞いてくれた。 
それから『正面押し』。 
これは力む・力まないの説明をするのにとても便利でわかりやすい。 
これも体格の良い方、一人は空手家の方に好評だった。 
さすがに朝から来るだけあってみなさん、稽古熱心でこの日も楽しく稽古することが出来た。 

そうそう、前回お土産にいただいた動き「正座から立つ」が出来るようになった事をご報告した。 
すると新たなお土産「前腕に人が乗る」をいただいた。 
骨折したときのように肘を曲げた前腕に人を両足で乗らせる。というもの。 
私も乗らせていただきました。乗る側も怖いので肩に手を乗せていたのですが、それも離して立っても同じく支えられる。 

ぎりぎり時間いっぱいまで稽古させていただいたが、甲野先生の講座の前に無念の終了。 
名古屋の稽古人の方々と山口先生にご挨拶をして帰った。 
とても楽しく良い稽古になりました。ありがとうございました。 

帰る旨の報告をさせていただいた際、山口先生から「何か他にお土産もって帰りますか?」との発言があり、「では『正面の斬り』の形で全力でやらせて下さい。」とお願いした。 
普段の稽古ではただ全力でやっても得るものが少ないと思いやっていないのだけれど、この日は逆の感覚だった。 
山口先生には思い切り行ったほうが良い稽古になると思ったのだ。 
実際やってみると、その通りだった。 
私の動きは簡単に言えば(それだけではないが)「構造的に丈夫な状態のまま動く」というものだが、山口先生からはその構造的に丈夫であるが故の脆さを指摘された。 
直接言われた表現ではないが、こう受け取った。 
構造的に丈夫であるが為にそこに頼ってしまっている。だから構造的に丈夫でない方向からこられた時の対応が甘い。 
どう取り組んでいくかは今後の課題にしよう。良いお土産をいただいた。 
みなさま、ありがとうございました!
特にK親子には駅まで車で送っていただき、大変助かりました!

稽古メモ 
■肌の小手返し 
手袋を脱がせるように。 

■肌の正面の斬り 
私の手刀から見て手刀方向の力を与える。そこに意識が向くことで空いてくる肘を、肘の外側からの力を与える。 

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