構造動作トレーニングとストレッチの違い

何が良いのか?日記で書くと宣言していたもの。


構造動作トレーニングとストレッチの違い

最近この違いをはっきりと感じるようになってきた。
先に書いてしまおう。
前者は自力、後者は他力だ。

誤解されたくないので強調しておくが、ストレッチが悪いという話ではない。
ここでも忘れてはいけないのが「何のためか?」という事だ。
・体が伸ばされる心地好さを求めている
・体をほぐしてリラックスしたい
・とにかく床にペッタリ張り付いてみたい
これらを目的にするなら、ストレッチは目的に合ったものだと言える。

私の場合は楽に動けるようになりたいのと、武術的な動きに求められる身体になりたいというのが目的なので、トレーニングが動作の向上に繋がってくれなくては困る。
目的にそぐわないからだ。

例えばキングオブ構造動作トレーニングと(一部で)言われる『股割り』。
パッと見た感じ、開脚して前に倒れている動作なのでストレッチとの違いが分からないかも知れない。
しかし全く違うのだ。
体を柔らかくするなら、誰かに足を開いてもらったり、後ろから押してもらったり、紐でもつけて引っ張ったりすれば早そうだが、構造動作トレーニングではこのようなやり方はしない。しないどころか禁止されている。

ここで断りを入れておこう。
逆に言うと他力的に身体を伸ばす動作をこの日記ではストレッチと定義してして書いているので、違うやり方でやっていてそれを「ストレッチ」と呼んでいる方がいたら反論したくなる内容かと思いますが、運動の質の問題ではなく言葉の定義の問題ですので、この点についてはご容赦ください。

話を戻すと、何故禁止されているのか?

自分で動いていないからである。
構造動作トレーニングでは、最初から最後まで『自分で動く』ことが求められる。
開脚も脚を伸ばされて開くのではなく、脚を自分で開く。
・基本姿勢から足指を握りこんで足首を背屈する。
・足首を底屈して再び前重心を確認する。
・確認できたら足首を背屈する。
・重心を前へ移動して下腹を床につける(私はつきませんが)。
・更に前へ重心を移動していく。
・この動作の間、骨盤から足首までは同じ位置をキープする。

誰かにやってもらえる動作は無い。自分でやらなければ動けない。

この違いは例えば武術で言えば空手の蹴りの質にも現れる(自分で試したわけではないのであくまで想像です)。ストレッチで可動域を広げた場合、鞭のような質の蹴りになると思う。一方『股割り』で可動域を広げた場合、骨に重さが乗って来る質の蹴りになると思う。
後者は重心を後ろに下げずに繰り出すためガードした相手がよろめく事になるかも知れない。

前にかいた「骨盤おこしをやって何が良かったの?」にも繋がる話だけれど、このやり方で取り組むと単に可動域が広がるのではなく、“自分で”動かせる範囲が広がっていく。
例えば『股割り』なら上に書いたようにその一つ一つの動作を自分の意思でコントロールしているのだ。
このように理解すると中村先生が「トレーニングはリハビリです。」というのもうなづけると思う。

武術の稽古で言われる『身体を割る。』にも通じてくる。
身体を割るとは、身体を細かい単位に意識出来るようにする事なのだけれど、イメージだけで行うのではなく実際に感じ取れなくてはその効果は得られない。
構造動作トレーニングは、全て自分で動くことを求められるので動いた箇所は自分で意識することが出来るようになる。すなわち、割って使うことが出来るようになるのだ。

最後にもうひとつ誤解があるといけないので書いておこう。
動ける身体になるのに構造動作トレーニングが唯一の道と言っているわけでもない。
例えば流派で学ぶ動きや型の中には、動ける身体を引き出すような工夫が内在されている可能性が高い。
『何のためにやるのか?』が意識出来れば後は自分にあった方法で自力で地道に取り組むだけである。






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