『武学探求』光岡英稔・甲野陽紀

『武学探究』
韓氏意拳光岡英稔先生と、甲野陽紀先生の対談を聞きに行きました。

陽紀先生が聞き手というのが、絶妙に良かったです。
時おり難解になる光岡先生の言葉を、陽紀先生が時にまとめ、時に翻訳してくれて、聴衆をおいてけぼりにしないように気遣ってくれていました。
陽紀先生から滲み出るあたたかい雰囲気と、光岡先生の武術に対する妥協のない厳しさと、その厳しさに意外なほどの柔らかい表情が相まって、場の空気が程よい緊張状態にありました。
この組み合わせを企画された方のセンスの良さが伺えます。

この日聞いた内容を私がここで要約しても、場の空気感までは伝わらないと思います。
これは私が個人的に強く感じた感想になりますが、少しだけ無理して参加したかいがありました。

光岡先生の話す言葉は、受けとる側に何かを問い掛けてきます。
抽象的な表現も含まれるので、内容によってはどこかで誰かが言っているのを聞いたものもあります。
有名な格言の中に、近いものが見つかるかも知れません。
しかし、受けとる印象は強烈なものがありました。
・考え抜いたすえに発せられる言葉
・体で納得して発せられる言葉
その言葉の威力が、本やインターネットにある同じような言葉から受けるものとは違いました。

言い換えると、光岡先生が個人的に私に一人に向かって私への問いかけとして、話されているように感じるものでした。
この感想があの場所で私が感じた空気を、近い形で表せているように思えます。

質問コーナーやサイン会、ご一緒させていただいた懇親会では、個人的な疑問を遠慮なくぶつけることが出来て、本当に得難い経験をした一日になりました。

内容を書くのは控えようと思いましたが、光岡先生がデモンストレーションで見せたナイフのように、私の心にグサグサと刺さった言葉の一部をメモしておこうと思います。
・意識は『持つ』のではなく『置く』
・次の瞬間死ぬかもしれない
・自分の心に従っていれば迷いはない
・癖はなおらない、ある
・あるものはある(認める)

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