体幹部の働きで手裏剣を打つ

Oさんのご好意で貸していただいている人形町の稽古場で棒手裏剣の稽古をした。

棒手裏剣は甲野善紀先生が得意としていて、私が棒手裏剣を知ったのは甲野先生がきっかけだった。
体を練るのにいいのと、何より面白いので練習を続けている。


先日Oさんが一人で手裏剣稽古をしていて、普段やっている剣術や中国武術の構えをヒントに手裏剣に取り組んだところ、刺さり方が変わったと言う。
早速拝見すると、前回見たときとは随分と雰囲気が変わっていた。
動きを見ても手裏剣に質量と重心移動の力が載っている。

Oさんにも言ったが、剣術で手裏剣が変わると、次に手裏剣で剣術が変わると言う循環が始まる。
こうなるともうどちらもやめられない。
私の場合は剣術をやらないので体術でこれが起きる。これが面白い。

用事でOさんがいなくなった後は私の一人稽古。
左を練習しようと予定していたが、Oさんから聞いた剣術の立木打ちの説明で私の広背筋がピクリと反応していた。
先日の重さをのせるスクワットからの流れもあるので、姿勢から丁寧にやってみることにした。

構造動作トレーニングの基本ポーズから、広背筋の収縮が解けないように(背中が抜けないように)手裏剣を構える。
ここからさらに丁寧に取り組まなくてはならない。
手裏剣を打つ動作中も背中が抜けないようにする。肘を無造作に伸ばすと簡単に背中が抜けてしまう。
少なくとも剣が離れるまでは死守する必要がある。
何度かやっていくうちに、腕の振りは以前に比べて小さくなり、剣の飛びは良くなってきた。腕を振りすぎると背中が抜けるのでそうならないようにしていたら自然と変わってきたのだ。

この打ち方は軌跡も安定してくるので、狙うのにも適しているようだ。
二間の距離では刺さらないことはなくなり、普段はあえてやらないようにしているが、的を狙うとそこに手裏剣が集まりやすくなった。

それならば左もと言うわけで当初の予定通り左の練習もはじめた。
同じアプローチで取り組んでみるとこちらも刺さり方が良い。
距離に関係なく、背中が抜けないことに気を付けて打つので、基本的に同じ感覚で打てる。
結局この日は、右は三間(この稽古場でとれる最大距離で6m弱)、左は二間で、手裏剣が刺さらないということはほぼなくなるところまでになった。


広背筋、広背筋と大きいながらも部分的な筋肉に着目して説明しているので誤解を招いているかもしれない。
体幹部の力が働く姿勢をとることがポイントであって、広背筋はそのときに気を付けるチェックポイントの一つにすぎない。
そもそも手裏剣をやっている人が少ないので影響は無いと思うが、この記事を見て他のスポーツに応用するときに広背筋の筋トレに取り組むのは間違えであるところに注意してほしい(そもそも該当者はいないと思うが)。

体幹部が働く姿勢が取れること。
その姿勢が取れているかどうかを自分でわかるようにすること。
広背筋はチェックポイントの1つ。

 具体的なトレーニング方法は、中村考宏先生の書籍や構造動作トレーニングセミナーでご確認ください。

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