松聲館の今を稽古する

恵比寿で毎月開催されている中島先生企画の甲野先生との稽古会に参加した。
『松聲館の今を稽古する』と題されるこの稽古会は、講座ではなく稽古会である。
甲野先生ももちろん、参加する我々も同じ空間で稽古するという企画で、
新しい発見が生まれることの多い、大変興味深い稽古会になっている。


・柔道技に有効な、弓を引く感覚による甲野先生の『空気投げ』。
相手の足の位置によって左右どちらから攻めるか判断する。


右自然体、順に組んだ場合で相手が右足を前に出していたら、右手で左襟を引き出し、左手でその襟をつかむと同時に右手は相手の左肘下に差し込む。
左手肘を弧を描くように開きながら引き、同時に相手の肘を下から挙げると、相手は大きく崩れてそのまま投げられるか、何とか足で残ろうとする。
足で残ろうとした場合には内股のように右足で相手の左足を付け根から跳ね上げると良い。


・身の規矩(みのかね)
四方輪かリクライニングシートの感覚か、身体の右側面から見ると『し
』の字のようなルートを通る力というか、感覚があってそれにしたがって動くという。
久しぶりに先生の抜刀を見たが、以前とは違う雰囲気で、動きにも変化が現れ始めていた。
普通に動くと(感覚的に)横のラインが出るがそれが出ないように動くのだという。
抜刀だけではなく、納刀も変わりそうだった。切っ先と鯉口を合わせにいく感覚とは全く異なる感覚での納刀になりそうだとのことだった。
まだこの日やり始めたばかりで先生も探り探りという感じだったが、見るからに今までとは違う質の動きが生まれてきていた。
この日は先生が抜刀をやるのをずっと見ていてもいいんじゃないかと思えた。
体を折って畳むのではなく、圧力がかかって縮むように、但し全体が太くなって縮むのではなく、真ん中辺りが膨らんでくるように縮むのだという。


続いてその身の規矩に沿って体術への展開を試みる。
座りでの『正面の斬り』を受けたが、おそらくただただ身の規矩にしたがって動こうとされていただけだと思われるが、受けている側としては接触面の向こうに静かに存在する大きな力があるように感じられて非常に興味深かった。


後で先生自身が分析されていたが、体術に応用するには抜刀で身の規矩を作ってからの方が良さそうだとのことだった。

この日は他にも稽古したが、最後の最後に手裏剣を見ることができた。
恵比寿の道場では床や壁を傷つけてはいけないので手裏剣はやっていないのだが、この日は甲野先生特性の真鍮製のキャップを付けた手裏剣と御座を使って実現できた。
三間強の距離からでも至近距離からでも同じように刺さる。
御座の後ろから見せていただいたが、きれいな直打法の軌跡を描いて飛んでいた。


非常に得るものが多い講座で、個人的にも大きな発見があった。
長くなったのでこの話は次の記事にしよう。

次回の開催は確か12月の3日だったと思うが、中島先生からの正式な発表を確認していただきたい。
参加資格は、「過去1度でも甲野先生のセミナーに出たことがある人。」です。
参加資格を得たい方は、11月13日に毎月第2金曜日、池袋コミュニティカレッジで講座が開催されているので、そこに参加されるかご都合の合う方は11月20日(金)の綾瀬にある東京武道館で開催されるセミナーに参加されると良いと思います。



コメント