松聲館の今を稽古する『ヒモトレ』『空気投げ』

恵比寿で毎月一回、甲野先生と一緒に稽古をする会が開かれている。
動作術の中島章夫先生主催による稽古会『松聲館の今を稽古する』に参加した。



今はヒモトレだ。
私個人としては甲野先生との稽古会でヒモトレのやり方だけ教わるのでは面白くない。ヒモトレ提唱者の小関勲さんの本を読めばいくつかのやり方は書いてあり、その通りに試せばいつでもできるからだ。
しかしもちろん紹介だけでは終わらない。
ヒモトレで変わる体からヒントを得て、検討し稽古する。
恵比寿の稽古会はこれがあるから面白い。


今回は相手に腕を掴まれた状態で腕を動かすときに、ヒモを使うとどう動きに影響が出るかをヒモの種類を変えて検証した。
・細いと食い込んでだめ
・帯は腕の自由度が下がるのでだめ
・柔らかいとヒモがつぶれて帯状になり、やはり自由度が下がるのでだめ
・断面が丸く、太すぎず細すぎず、ある程度伸縮するヒモが良い。
断面の円の直径は6~7mm。



ここで練習した動きを活用してフットサル大会で準優勝したという常連のかたと話をした。
体格の大きな相手にも当たり負けしないのでとても役に立ったそうだ。
私と『浮木之腿』や『謙譲の美徳』などを一緒に練習していたおかげだと言ってもらった。
稽古ではできるようになってもそれを応用するのはまた別の難しさがある。
そこからは本人の工夫と練習の成果であり、私もおおいに見習いたい。
この日も競り合いから抜け出る動きへの応用として『屏風座り』と『浮木之腿』の稽古をしたが、またフットサルのゲームでいかしてもらえたら嬉しい限りだ。



ここでは甲野先生の他の講習会と比較して、断トツで参加者が自由に稽古をしている。
私も名古屋に向けて空気投げを稽古した。


『空気崩し』の練習
受け身がとれなくても安全に『空気投げ』を練習するための『空気崩し』。
本当に安全にできるのか確認しておく必要がある。
念のため受け身のとれる方に受けてもらって、私が『空気崩し』をかける。
『浮落』『隅落』はうまく稽古できそうだが『浪落』やめておこう。
受けが尻餅をついてしまうし、取りが支えようとすると腰を痛める可能性がある。
とにかくゆっくりしゃがんでもらえれば大丈夫だろう。


ではこれを伝えるにはどう説明すればよいだろうか。
『空気投げ』を紹介する練習をした。
名古屋に備えて『空気投げ』を安全にした『空気崩し』を参加者のかたに紹介して、私の説明で期待した動きをしてもらえるかを確認した。
安全にできるかどうかはしゃがむ速度にかかわっている。ゆっくりしゃがむことを強調する必要がありそうだ。
全方向にできるはできるが、後ろ方向への空気崩しはゆっくり入っても重力で尻餅をついてしまう恐れがあり、受け身がとれないかたにはやはりやめておいたほうが良さそうだ。


柔道経験者でマジシャンのかたに受けてもらって、空気投げから展開する技の体系の整理がまた少し進んだ。
大外刈は空気投げの体系の中に整理できそうだ。




空気投げ以外にも、Sさんとやった剣の間合いの稽古や、中島先生と話したヒモトレの感覚と構造動作の深部感覚の共通点、Mさんの張りがあって相手と一体化する感覚が面白かった。
丈夫な柔道着を掴むとつい力をかけて相手を動かそうとしてしまいがちだが、その前に動きの質を転換しておかなければ自分より力のある相手には通用しない。
Mさんとやったのは、例えば道着を洗濯物のシワを伸ばすようにして持ち運ぶ動きをすると、相手は自分が引っ張られていないような感覚のまま動かされる。
面白いことに動かす方の感触も全く異なる。
質的転換をしなければとは、いつも念頭にあるはずだったが柔道練習ではまだまだ意識できていないと気づかされた。

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