三船十段記念館『崩れ隅落とし』

岩手県久慈市にある三船十段記念館でイベントが開催されているとの情報を入手した。
イベントの終了間際だったこともあり、思いきって家族に相談したらOKがでた。空気投げ研究家として認められたのか。

土曜日の夕方出発して八戸に一泊、日曜日に久慈に向かうことにした。
月曜日は仕事なので日曜日中に帰らなければならない。
土曜日はなるべく家にいて、日曜日はなるべく久慈にいる計画を立てていたが、出発当日になって、娘も一緒にいくことになり、土曜日は早めに出て早く寝て、日曜日も出来るだけ早く帰ってくる計画に切り替えた。
計算では久慈の滞在時間は五時間強ほど。

八戸に泊まった翌朝、7:14八戸発の八戸線に乗ること二時間、終点の久慈に到着した。
バスに三船十段が!さすが久慈である。

娘が気に入った顔はめパネルの写真を撮りまくった後、タクシーで三船十段記念館へ。
前日に連絡をしていて、まずは三船十段記念館道場で柔道練習を見学させていただいた。
道場には巨大パネルに三船十段の空気投げの写真が飾られていて、いかにも三船十段記念館道場といった感じだった。


小学生たちが形の練習をしているのをみせてもらって、指導員の方に空気投げ研究家としてご挨拶をさせていただいた。
全国大会にも出場することがあるという道場で、大きな大会も開催できるほどの立派な道場だった。
念のため三船十段の技を練習しているか聞いたところ、「それはしていない。」という返答だったが、まあそれはそうか。

見学のあとは隣の記念館へ移動した。
ここには三船十段の経歴、五段の書の作品、趣味で三段の将棋、『柔道の真髄』の上映、その他投げ裏の形の映像、三船十段草案の技の連続写真、直筆の研究メモ、みたことのなかった著書などの貴重な資料があった。

なかでも3つ、『空気投げ』の理解を深める情報を得られた。
1つめ
右手の使い方。
両袖をもった場合にどのように握っているか、「袖を順にとり」とは、どのような掴み方なのか、大きな写真ではっきりと確認できた。


2つめ
『押さば回れ、引かば斜めに』
『押さば回れ』が全てを表しており、わからない人のために付け加えたのが『引かば斜めに』であるということ。
押されるも引かれるも円のかたどりで動くという理解で良いことになる。
斜めにというのは、円周の接線が通る方向を指しているのだろう。『引くよりも押すほうが速い。』ともかかれていた。

3つめ
『崩れ隅落』
三船十段が横落か谷落をかけているように見える写真だったが、説明に『崩れ隅落』とあった。八方の空気投げから隅落強化版として足技だけでなく、捨て身技の『横落』『谷落』を構想していた私にとっては大きな確信を得る情報だった。


時間の関係で全ての資料を見ることはできなかったが、三船十段の柔道そのものに迫るヒントが書かれているものもあった。
さらに柔道研究を進めて、答えあわせの形でまた読みにこれたらと思う。

館長の熊谷さんにも空気投げ研究家としてご挨拶をさせていただき、三船十段の技についてお話を聞かせていただいた。
わたしの活動にも興味をもっていただけたようで、空気投げが成功したら連絡をしてくださいと約束した。
久慈出身の柔道家と言えば、柔道の神様と言われた三船十段のあと、寝技の神様と言われる柏崎克彦先生が生まれている。
館長さんの話によれば、柏崎先生が空気投げの説明をされていたことがあったという。
寝技の神様の『空気投げ』。一度でいいから味わってみたい。


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