松聲館の技法レポート『肘当て廻り石化』

ツイッターからの転記です。

甲野善紀先生のメルマガ用動画撮影終了。道場に向かっている間は先生の体調が心配だったが、始まってしまえば技の威力に驚かされて心配している場合ではなくなっていた。謙譲の美徳を元にしているという『肘当て廻り石火』は見た目には頼りない肘打ちだが、触れた相手を体ごと跳ばすほどの威力。

そこから生まれた甲野先生の新しい『空気投げ』が凄かった。こちらが奥襟と袖を取らせてもらって組手十分の形から、相手と入れ替わるように踏み入りつつ、渦潮に飲み込まれるように投げおとされる。『元は謙譲の美徳ですから田島さんに出来ないはずがない。』と言われてやってみると、出来ない(笑)

私が出来ない技ばかりだが、驚かされたのは『影観法』を用いた『釣り手落とし』と『引き手落とし』。道着を掴もうと出した手に予想外の重さが加わって、体ごと畳に潰されてしまう。先生はカウンターを打つ意識でいるようで、そうなると下方向に重さを掛けているのは誰だ?という話になる。

「カウンターを打とうとしているのが先生なら、実際に下方向に重さを掛けているのは誰ですか?」とそのまま質問したところ、「わかりません」と返ってきた。わからないなりに練習するなら、動作は先に決めておいて、そうではない方向の意識を強く持ちながら動くしかないか。

動きと違う方向を強く意識することで、結果的に2方向の別々の力を同時並行的に出すことになり、これが相手にとって捉えにくい作用をもたらすのではないかと推察する。特に強く意識した方向を受け手が敏感に感じとるので、予想を強く裏切られる効果もあると思われる。


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